日本の三大和牛【松阪牛・神戸牛・近江牛】として有名な松阪牛ですが、まつざかぎゅうとして一般的には知られていますよね。
本来は、松阪牛(まつさかうし・まつさかぎゅう)と読むのが正式名称となっています。
さらに細かく申しますと、生きている牛が(まつさかうし)で、牛肉が(まつざかぎゅう)なんですね。
なので、別に【まつざかぎゅう】と呼んでも誤りではないのですが意外と知らない常識なのではないでしょうか。
今回は、松阪牛の知られざる基礎知識情報やブランド和牛との違いなど、新常識をお肉のプロがご紹介していきます。
松阪牛とは?
松阪牛は、三重県松阪市飯南町深野が発祥の地となっています。
そして、現在は三重県の松阪市だけで、生産されているのではなく【松阪市、白山町、嬉野町、香良洲町、津市、久居市、伊勢市、一志町、度会町、小俣町、玉城町、美杉村、三雲町、飯南町、飯高町、明和町、多気町、大台町、大宮町、勢和村、宮川村、御薗村】といった22の地域で松阪牛が生産されています。
松阪牛と名乗るには定義はそれだけではありません。
生後12ヶ月の年齢までに松阪牛生産区域に移され、松阪牛個体識別管理システムに登録認証された黒毛和牛というのも条件になります。
兵庫県の但馬牛などを買って、約3年位育てて一定の基準に達した牛肉が松阪牛と初めて名乗ることが許されています。
22の市町村の中には、地域によって松阪牛にお酒を飲ませたり、牛の血行を良くして皮下脂肪を均一にするためにマッサージなども行われています。
常識的に考えて、牛にお酒を飲ませたり丁寧にマッサージをしたりと、いたれりつくせりをして飼育しているのは信じがたいですよね。
ですが、それだけ生産者側が愛情を注いで育てたり、高い畜産技術によってあの最高品質の肉質を実現できているわけなんです。
そして、松阪牛は昭和10年に【全国肉用畜産博覧会】において、牛肉の品質が最高級だと証明されて一気に全国区に松阪牛ブランドが広く知れ渡ったのです。
また現在、松阪牛と名乗るには全国各地の特に肉質が良い黒毛和牛の仔牛を松阪エリエで約500日間以上飼育した未経産(みけいさん)の雌牛となっています。
未経産の牛とは、一度も出産した事のない牛の事ですね。
ちなみに、出産経験がある牛のことを経産牛と呼びます。
松阪牛の特徴
現在では、誰もがその美味しさを認める松阪牛ですが、松阪牛の中でもさらに肉質が良い牛は特産松阪牛と呼ばれています。
と言うのも、松阪牛はどれも最高品質の和牛ばかりだという常識がありますが、実は、肉質等級のA1~A5まで幅広い品質の牛肉が流通していますから、上質なお肉の幅も広いのですね。
なので、特に最高級中の松阪牛ブランドの中で極上の肉質の牛肉を食べたいのであれば、特産松阪牛のお肉を食べられた方が良いです。
松阪牛の特徴としては、牛肉を口に入れると舌の温度でトロトロに溶けてしまう位の柔らかさがあります。
黒毛和牛の中でもトップクラスの品質を誇っていますので、ビーフにもサシ(霜降り)が均一に入っておりどこの部位のお肉を食べてもとても美味しいです。
同じブランド和牛の中でも、脂肪が溶ける不飽和脂肪酸の比率が高いので融点が低く、とても舌触りが良くて最高の牛肉です。
松阪牛肉を提供する飲食店によって、肉質等級のA1~A5ランクのグレードの取り扱いにも違いがありますので、極上のお肉を食べたいのであれば値段もそれなりに高価になります。
ですので、松阪牛肉の価格が相場よりかなり安いお店では、肉質が最低レベルのビーフを提供しているかもしれません。
まだ、本当の松阪牛の美味しさを味わえていない可能性もありますので、特産松阪牛など極上レベルの松阪牛肉を堪能すると、さらに深い味わいを知る事ができますよ。
松阪牛肉の人気部位は?
松阪牛肉は、黒毛和牛の中でも特に肉質が上質ですのでどの部位でも本当に美味しいです。
サシ(霜降り)の入り具合も絶妙のバランスが保たれていますから、柔らかい食感を堪能できビーフに甘みもあります。
そして、部位の中でも特に人気なのは【サーロイン】になります。
サーロインは、牛肉部位のロースの中で一番後ろ側のお肉のところです。
サーロインと言えばステーキですよね。
焼きすぎると松阪牛特有の肉質の柔らかさが失われてしまうので、あまり加熱処理をせずにレアの焼き加減で松阪牛肉ステーキを頂くのがおすすめです。
ただし、完全な生食いは止めた方が良いですね。
松阪牛ほどの最高級の肉質でも、生の状態で食べてしまうと病原菌・寄生虫に侵されるリスクは少なからずありますので。
なので、ブランド和牛肉は焼きすぎても良くないですし、生食いをするのも良くはありません。
松阪牛の別格級の特産松阪牛
松阪牛というブランド和牛は、高価な牛肉ですから頻繁に食べる機会はあまりない方もいるでしょう。
なかなか普段は食べれない松阪牛ですが、さらに最高品質の肉質を誇る別格級の特産松阪牛という牛が存在します。
普通の松阪牛と何が違うのかと言いますと、兵庫県の但馬地方から生後約8ヵ月の仔牛を導入し厳選された地域と、長い期間飼育された牛だけが特産松阪牛に認定されるわけなんですね。
この特産松阪牛の認定は、松阪牛協議会がされています。
長い期間育てるという事は、飼育コストも莫大にかかる事になるのですが長い年月をかけて丁寧に育てられた松阪牛ほど、牛肉に含まれる水分が抜けてより美味しい味を引き出す事に繋がるのです。
また、松阪牛協議会では、松阪牛全体を占めている特産松阪牛の割合は、2015年度の統計結果だとわずか4%しかいません。
もっと具体的に申しますと、普通の松阪牛が7000頭飼育されていて、その中でおよそ300頭しかいないというわけなんですね。
松阪牛と他の和牛との違いとは?
松阪牛を含め、日本の約9割の和牛は黒毛和牛になります。
ではなぜ、ブランド和牛によって価値の差があるのかと言いますと、産地ごとに気候・飼育方法・エサ・風土・環境など違いがあるので、その影響でビーフの食感や味に違いがでるんです。
なので、松阪牛には特有の育て方があり、他の黒毛和牛よりも脂肪が溶ける融点が低いので舌触りや食感が変わり牛肉の旨味に直結します。
さらに、特産松阪牛と呼ばれる松阪牛の別格級の牛もいますから、松阪牛の肉質が他のブランド和牛よりもとても拘っていますし厳選されている事も、お分かり頂けたのではないでしょうか。
松阪牛のまとめ
いかがでしたでしょうか。
松阪牛は日本の三大和牛の一つとして超有名なブランド和牛になります。
兵庫県の但馬牛などを購入して、約3年位の年月をかけて飼育されていますし、その間、厳しい審査基準をクリアしないと松阪牛と名乗る事はできません。
なので、黒毛和牛の中でも最高品質の肉質を誇るのですが、さらに極上の肉質を持った特産松阪牛という牛も存在します。